自分は運動が苦手と思っている人へ
- zaharaoriental
- 27 分前
- 読了時間: 6分
右と左がとっさにわからない問題
右と左がとっさにわからなくなる状態のことを左右盲といったりします。
病気ではないものの、左利きを矯正した人や女性に多くみられ、一説には15%程度の人が左右盲だそうです。
生徒さんにも10人にひとりくらいの割合でいらっしゃいます。
「右手を上げて」と言われるととっさにわからなくて、フリーズするか、逆に(わからないことに焦るせいだと思いますが)かならず反対の手を上げてしまう人…
左右盲は、左右で動きが異なるダンスや楽器を習おうとする際には、習う方はもちろん教える方にとっても悩ましい問題です。
とはいえ、改善しようと意識したり工夫(右にヘアゴムをつけるとか)してトレーニングを続けているうちに少しずつ良くなっていくことが大半なので、「私はできない」というネガティブな自己暗示を乗り越えて「苦手なことをあきらめないで取り組めるか」が最大のハードルです。
ちなみに私もおそらくかるく左右盲…子供の頃からずっと、1秒くらい考えないとわからない!
とはいえとっさに左右を判断する必要があまりなかったので「そんなもの」と放置していたのですが、インストラクターの仕事をやるようになってあらためてそのデメリットを感じ、必要に迫られて意識的に直すよう練習しました。
さらにコロナ禍でオンラインレッスンをやるようになってからは本当に切羽詰まって頑張った結果、左右を判断するまでの時間が短縮されました。
まあ考えないとわからないので直ったわけではないのですが、『反復練習による慣れ』でマシになった感じ。
左右はいまだに一瞬悩むし、疲れて集中力がなくなってくるとよく間違えます。
(生徒さんたちは知ってるはず…左右だけでなく、膝と肘も言い間違えるもんね)
ちなみに左右盲の問題は、次の「あれかこれしかできない問題」にもつながっていると思います。
あれかこれしかできない問題
基本姿勢か手か腰かステップか、なにか一つしかできない。
これは初心者さんがよく陥る問題です。
ダンスレッスンのとき、何かしらの動きをすると「基本姿勢」を忘れてしまう。
腰を動かしながら腕を動かすと、腰が止まってしまう。
上半身と下半身が連動して動かせないとか、逆に、分離して動かせない。
あるあるですね。
これらはいわゆる「運動神経」が発達しているかどうかが大きいようです。
私たちは何かを覚えるとき、正しくそれを繰り返すことで神経回路がつながり、そうすると無意識にできるようになるといわれています。
運動神経がいい人というのは、子供の頃から身体を使った遊びなどを通じて、全身をスムーズに動かすための神経回路が繋がっている人。
運動神経は子供の頃に発達するものですが、大人になってからも努力次第で多少発達するようです。
そして、使わなければ神経回路の繋がりは弱くなる…
だから運動神経が発達していない人ほど、集中して「正しい反復練習」を行い、今からでも神経回路を丁寧に繋げる必要があります。
それがダンスでいう「できなかった動きができるようになる」ということなんですよね。
さらに悩ましいのは、運動神経が正しく繋がっていない人ほど自己流で身体を動かしてしまうので、変な動きグセがついています。
その変な動きグセがついたまま、間違った反復練習をすれば、間違った神経回路を繋げてしまいます。
もともと運動神経がいい人ならダンス独学は可能ですが、一方で運動神経が良くない人がダンスを独学で学ぶと変なクセがついてしまい、その結果身体を痛めてしまいがちなのはそういった理由が大きいと思っています。
「あれかこれしかできない問題」のもうひとつの原因、それは「集中の問題」です。
ひとつのことに集中すると周りの声が聞こえなくなったり、それ以外のことが目に入ってこなくなるタイプの人がいます。
(私もちょっとこの傾向があるのでわかる…)
「おへそ正面に向けて」「内もも閉じて」のどっちかを意識した瞬間に、もうひとつのことがまったく頭から飛んでしまうんですよね。
誰でも多かれ少なかれこういったことはあると思いますが、この現象が極端に現れる人にとっては、全身運動であるダンスは難しいと感じられるかと思います。
そんな人にとって大事なのは、「基本の部分は無でできるようになるまで練習して身体に覚えさせること」です。複数のことに意識を向けるのが難しいのだから、意識を向けなくてもできるようになるまで練習して身につける、これしかないと思います。
振付が入るとさらに「意識することが増える」ので、振付の順番だけは100回繰り返して身体が勝手に動くまで叩き込むとか。
ひとそれぞれ得意不得意はあって、それ自体は仕方ないこと。
だから、身体全体に意識を向けられる人(身体感覚の優れている人)と同じだけ練習すればいいという前提を捨てて、大人になった自分の身体をもう一度訓練しなおすような気持ちで取り組んでみてほしいのです。
ほかより時間はかかるかもしれませんが、あきらめずにやり続けた人はちゃんとできるようになります。
できることをコツコツと
運動が苦手と感じる人の大半は「やっていないから慣れてない」「自分の苦手と向き合うための工夫をしていない」「苦手だから練習量が足りなくて、当然できない」こんな感じです。
上達スピードに差はあれど、大事なのは「目の前の課題に取り組み続けるかどうか」だと思います。
とはいえ「右と左がとっさにわからない問題」と「あれかこれしかできない問題」が重なると、ゆっくり説明してもそもそも指示が聞こえていなかったり、よく見ればばシンプルな動きなのにパニックになってしまうがゆえにできなかったりと、レッスンが必要以上に難しいものに感じられるかもしれません。
パニックになりやすい人は「自分はちゃんとできなければならない」とか「自分はできるはずなのにできない」「すぐにうまくなるはず」といった自分への期待が大きすぎる場合が多いので、いったん「自分は人よりゆっくり学んでいく遅咲きタイプなんだ」と良い意味であきらめてみましょう。
謙虚な気持ちでじっくり取り組めば、いつの間にかできるようになっているかもしれません。
さらに、脳のキャパオーバーもパニックの原因です。
クラスのレベルが合っていなかったり、レッスンスピードが適切でなかったり…基本が理解できていない状態でどんどん進んでしまうようでは、誰だっていっぱいいっぱいになります。
だからこそこのタイプの人ほど教えられっぱなしではなく、自分ひとりでじっくり理解して落とし込む自主練時間が必要です。わからないことをそのままにしておくほどに、脳はキャパオーバーになりやすいからです。前回までの予習と復習をしっかり行うことで、レッスン中のパニックをやわらげることができます。
私自身、本ばかり読んでいて運動嫌いな子供でした。
バランス感覚悪い、持久力ない、左右盲ぎみ(だから体育はさぼる)…という。
小学校のときに一番苦手だったのは平均台です。
だから「身体が思うように動かない」「運動は苦手」「左右がとっさにわからない」「ターンで目が回る」という生徒さんの気持ちはよくわかりますし、その上で「こつこつトレーニングすればできるようになっていく」ということも知っています。
できなかったことが努力の結果できるようになると、自信がついてきます。
自分に言い訳をしてやらないままにしていると、どんどんチャレンジできない人になっていきます。
当スタジオのコンセプト「もっと自分が好きになる」を叶えるのは、ベリーダンスを通じて小さなチャレンジをするきっかけが増え、自分に自信が持てるようになるから。
一緒にがんばりましょう♪
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