ベリーダンスのはじめかた
ベリーダンスのルーツを追っていくと、古くは女神信仰の時代にさかのぼります。
現在はショーとしての要素が強いですが、もともとは自分自身のために踊るものだったという説があるほど、ベリーダンスは女性の心身に寄り添ったダンス。
これからベリーダンスを始めてみたい方のために、「ベリーダンスの始め方にまつわるあれこれ」をご紹介します。
Point
ベリーダンスの種類
ベリーダンスの歴史には諸説ありますが、一説には女性たちが自らの解放と自由、有り余る内なるエネルギーを昇華するために踊ってきたダンスといわれています。
古代エジプトや中東、インドを発祥としたこのダンスは時代の流れや国によって様々なスタイルへと発展しました。
現在ベリーダンスといえば王道のオリエンタルスタイル(エジプシャン・ターキッシュ)のほかにトライバルスタイル(ATS・トライバルフュージョン)、ジプシースタイル、キャバレースタイルなどがあります。
さらに、ほかのダンスの要素を取り入れたフュージョンスタイル(ジャパニーズフュージョン・フラメンコフュージョン・タヒチアンフュージョンなど)が数多くあり、ダンサーごとの個性を出しながら踊っていける寛容さのあるダンスです。
ベリーダンスに向いている人
ダンス系の習い事はたくさんありますが、ベリーダンスがおすすめなのはこんな人です。
エキゾチックな音楽が好きな人
エキゾチックな音楽といえばベリーダンス!
アラビアンナイトのような世界観や、情緒的な音色、不思議なリズムや情熱的な太鼓の音に心が揺さぶられるならベリーダンスはぴったり。
女性らしさを表現するのに抵抗がある人
ストリート系やラテン系とはまた違う、しなやかな女性らしさや艶っぽさを表現できるのがベリーダンスの特徴です。
普段、自分の中の女性らしさを発揮することに抵抗がある人や、男性社会の中で抑圧されながらも頑張っている人こそ、女性らしさを開放してくれるベリーダンスにハマる傾向が…!が
しなやかにボディラインを整えたい人
ガリガリやムキムキではない、ほどよくインナーマッスルのついた女性らしい体型をつくるのはベリーダンスの得意分野。
正しいやり方でベリーダンスを踊り続けていれば、お腹にうっすらと縦割れがあらわれるでしょう。
インナーマッスルがつくことで、冷え性やむくみ、便秘の改善にも最適。太りにくい体質に変わっていきます。
ハッピーに気持ちよく踊りたい人
バレエやフラメンコと比べ、ベリーダンスは笑顔で踊ることの多いダンスです。
最初はなかなか笑顔で踊れなかったりするのですが、笑顔で踊ることで自分の気持ちもつられてハッピーになっていく効果は抜群。
日々のストレスも踊ることでいつの間にか消えている…という心と躰のヒーリングダンスでもあります。
ベリーダンスに必要なもの
【必要なもの】
・畳一畳ほどのスペース(手足を広げてストレッチできるほどあればなおよし)
・動きやすい恰好(腰のラインと足のラインがわかるものがベスト)
・音楽(初心者は単調なリズムのものがおすすめ)
【あると良いもの】
・ヒップスカーフ(骨盤が平行に動かせているかをチェックするのに役立ちます)
・ベール(270×110㎝のシルクベールがおすすめ)
・全身鏡(全身が映るもののほうが上達が早いです)
・靴下やダンスシューズ(たくさん練習する際の足裏保護のため)
ベリーダンスの年齢層
統計があるわけではないのであくまで体感となりますが…
ベリーダンスが日本でブレイクしたピークは今から15年ほど前のこと。
今、インストラクターとして教えている層は、そのときに当時20代、30代で始めた人たちが多いでしょう。
ベリーダンスは、エキゾチックな音楽で踊ることへの中毒性や、実際に続けていくことで美容健康効果を感じやすいため、一度ハマると長く続ける人が多い傾向にあります。
体感では今現在ベリーダンスを習っている人は、数年単位で習い続けている35~50代が中心ではないでしょうか?
また、習っている場所により平均年齢にはだいぶ開きがあります。
一般的にスポーツジムやカルチャースクールは利用者全体の年齢層が高いため、平均よりももっと上になる傾向が。
一方で大手ベリーダンススタジオになると、若い方では20代の人が入ってきたり、逆に高齢になるとレッスンのペースについていけなくなったりすることから、平均にすると30~40代くらいのところが多いかなと思います。
ベリーダンススクールの少ない地方の場合だと、スポーツクラブやカルチャースクールでも若い生徒さんが多かったりするかもしれませんね。
ベリーダンスでNGなこと
前述のように「ベリーダンスは自由な踊り」なのですが、なんでもOK!というわけではありません。ベリーダンスらしさのポイントを押さえましょう。
反り腰はNG
ベリーダンスで反り腰は絶対にNG。
骨盤を立ててインした状態は基本中の基本です。
膝を開くのはNG
股をがばっと開いたように見えるのは、ベリーダンスらしさから言うとNGです。
足を開いていても内腿や膝は閉じる力が働いている状態になるよう、お尻を引き締めておきましょう。
下品エロはNG
露出が多い女性らしいダンスだからこそ、下品にならないようにしましょう。
なまめかしく腰をまわしたり、腕で胸を寄せて強調したり…
初心者のうちは特に『見えてはいけないものが見えてしまっている』ような隙のあるだらしなさにも気をつけてください。
ベリーダンスの学び方
初めての人がベリーダンスを習うには以下のような方法があります。
※あくまで一般的な傾向のお話なので、すべてがこれに当てはまるわけではありません。
1)スポーツクラブのベリーダンスプログラム
…とりあえずベリーダンスを体験してみたい、身体を動かしたい、という人にぴったり。
◎飽きたら他のプログラムを受けたりマシンを利用できる、楽しく踊るのが目的なのでうまく踊れなくてもプレッシャーがない、20代~おばあちゃんまで年齢層が幅広い
×初心者やできない人に足並みそろえるため通い続けてもテクニックが上達しにくい、発表会以外で踊るチャンスはほぼない
2)カルチャースクールのベリーダンスクラス
…月に1、2回のペースでゆっくり続けていきたい、年齢層高めのクラスがいい、という人に。
◎大手スタジオ出身のインストラクターが多い、年齢層が高めなので高齢の方も通いやすい
×3カ月など期間ごとに前納であることが多い、月1~2回のゆったりペースなのでしっかり取り組みたい方には物足りないかも
3)大手ベリーダンススクール
…ショーに出たい、グループで踊りたい、プロになってベリーダンスを極めたい、という人はこちらがおすすめ。
◎有名ダンサーに習える、クラスが多く時間や曜日が選べる、きちんとしたテクニックを学べる、グループダンスでショーに出られるチャンスが多い
×人数が多いのでできない人は取り残されがち、生徒間の競争が激しい、なにかと出費がかさむ、ダンスより人間関係に悩まされることも
4)個人で教えているベリーダンスレッスンやワークショップ
…踊りが好きな先生に習いたい、相性のいい教え方の先生に習いたい、という人向け。
◎ダンススタイルが好きな先生に習える、個々のレベルに合った丁寧な指導をしてもらいやすい、先生ごとの得意なことを学びやすい、上達すればソロで踊るチャンスがもらいやすい
×レッスン日程があまり選べない、格安で回数を受けたい人には不向き、そもそも先生がショーなどで踊っていない可能性も
5)独学(本や動画で学ぶ)
…通える範囲にベリーダンスを教えているところがない人、子育てや介護で家を出られない人などに。
◎地方の人や家を空けられない人でも自宅で学べる、無料もしくは格安で学べる
×基礎を間違って覚えてしまう可能性が高い、自己流でのダンスは上達しにくく身体を痛めやすい、モチベーションが続かない、間違っていても教えてもらえない
5)オンラインレッスン
…コロナ禍で一気にメジャーになったオンラインレッスン。独学のメリットに加え、デメリットをもカバーした新しい習い事スタイルです。
◎外出自粛中はもちろん、地方の人や、子育て中、介護中の人でも自宅で学べる、スタジオレッスンより割安、マンツーマンなど双方向のレッスンであれば質問しやすくテクニックもきちんと学べる
×安定したネットワーク環境が必須、オンラインレッスンはインストラクターによって向き不向きがでやすい、一方通行のグループレッスンだとYoutube動画で独学するのとあまり変わらない場合も
ベリーダンス教室の選び方
1)通える日程や頻度で選ぶ
平日決まった時間で働いている人なら平日夜か土日に定期的にレッスンのある教室を、お仕事が不規則な方や小さいお子さんのママなら振替のしやすいチケット制のレッスンを行っているところが第一選択肢になるかもしれません。
また、定額でできるだけ回数をたくさん通いたい人なら、プログラムの多いスポーツクラブが良いでしょう。
ベリーダンススクールでは、通う回数により1回のレッスン料が割引になるところもあります。
一方、「週1回も通えなそう」という人の場合には、カルチャースクールや、ドロップインで受けられるレッスンがおすすめです。
2)場所で選ぶ
会社員の人であればお仕事帰りに寄れるターミナル駅や、土日ならそのまま遊びに行ける場所が近い教室が便利。
あまり長く家を空けられない人や在宅ワークの人なら、生活圏内に教室があることが第一優先になりそうです。
コロナ禍で一気に浸透したオンラインレッスンなら、場所を選ばずに始められますね。
3)支払い方法で選ぶ
大きくわけて月謝制かドロップイン(都度払い)かになります。
カルチャースクールですと数カ月分前納というスタイルが多いです。
生活スタイルが一定で毎週決まった時間に通える人の場合には月謝制、予定が不規則だったり多忙な人は、月謝払いのクラスよりも少し割高になりますがドロップイン(都度払い)で受けられる教室が通いやすいでしょう。
さらに、有効期限内に決められた回数を受講できるチケット制なら、月謝制とドロップインのいいとこどり。「毎週決まった時間に行くのは無理だけどできるだけお手頃に続けたい」という人にぴったりのシステムです。
4)料金で選ぶ
一般的なベリーダンススタジオのグループレッスンは、月謝制の場合で1レッスン(1時間)あたり2,500円(月謝10,000円程度)が相場で、少人数制ですともう少し高くなる場合があります。
個人レッスンでは、1時間6,000円+スタジオ代(1,000~2,000円程度)が平均的ですが、スタジオ指定する場合には追加でインストラクターの交通費がかかる場合も。振付をお願いする場合には、追加料金が発生することもあります。
一方でオンラインレッスンの場合は、スタジオレッスンよりもお手頃にレッスンが受けられます。特に一方通行のグループレッスンの場合にはスタジオレッスンの半額以下に設定しているところも。
5)教えてくれるダンススタイルで選ぶ
その先生がどんなダンススタイルを教えてくれるのか?自分はどんなダンススタイルを踊りたいのか?は教室選びの大切なポイント。
とはいえベリーダンスはオリエンタルスタイルが基本ですから、まずはオリエンタルスタイル(エジプシャンorターキッシュ)の基礎を教えてくれるスタジオを選ぶのが安心です。
優雅で落ち着きのあるダンスを踊りたいならエジプシャンスタイル、柔軟性のある華やかなダンスを習いたいならターキッシュスタイルがおすすめ。エジプシャンスタイルとターキッシュスタイルでは使われる曲も違うので、曲調の好みで選んでも良いかもしれません。
先生のプロフィールを見れば書いてあることが多いですし、もし書いていない場合にも、その先生が師事していた師匠の名前が書いてあれば、そこから先生のダンススタイルを予測することができます。
6)先生のダンスが好きかどうかで選ぶ
最初に基礎を習う先生というのは実は結構重要。習い続けているうちに、いつのまにか基礎を習った先生の踊りに似てくるからです。
だからこそ、自分が「素敵!」と思える先生に習うことが大切なのです。
素敵なダンサー=教え方上手な先生とは限りませんが、イチ観客として先生の踊りが好きであるかどうかも教室選びの必須ポイントになるでしょう。
7)クラスの雰囲気で選ぶ
クラスの中でベリーダンスにかける本気度があまりにも違うと、トラブルのもとに。
あなたが一生懸命頑張ろうとしていても、おしゃべりしながらゆるーくやりたい人が多いクラスの場合にはレッスン自体はあまり進まないかもしれません。
逆にのんびり気分転換のつもりで行ったクラスが、みんなわき目もふらず頑張っていたら…?なんかちがうな…と思ってしまいますよね。
ゆるく楽しくやりたいならスポーツクラブやカルチャースクールを、しっかり踊れるようになりたいならベリーダンススクールを選びましょう。
8)クラスの年齢層や運動強度で選ぶ
インストラクターは、生徒さんの年齢層(というか体力)に合わせてレッスン内容やレッスンスピードを調整していますので、60代でも「体力に自信があるしガンガン踊りたい」という人なら20~30代中心のクラスが合っているでしょうし、若くても「体力や記憶力にあまり自信がない」という人ならゆっくり進めてくれるクラスを選ばれる方が続きやすいと思います。
また年齢層が幅広いクラスだと、グループダンスの際に気まずい感じになりやすいというのも聞く話。
確かに20代の方と60代の方が一緒にグループダンスをするとなると、現実問題、体力や記憶力、衣装選びなどの面でも少し厳しいかなとは思います。
一方でソロダンスであれば体力や記憶力は問われませんので、人前で踊ることを目標にされている場合にはそういった面からクラス選びをしてみるのも一つの方法です。
さあ、ベリーダンスをはじめよう
ベリーダンスについての情報をあれこれと書きましたが、結局はご自身の身体で体験してみないとわからないもの。
Oriental Dance Therapyでは、ベリーダンスがはじめての方にこそ受けていただきたい、生徒さんひとりひとりの個性に寄り添うレッスンをご用意しています。
誰だって最初は初心者ですし、自意識が全開になってしまうから、はじめから笑顔で踊ることなんてできません。
「年齢が…」とか「運動神経が…」とかはひとまず横に置いておいて、あなたが新しいことを始めるときに余計な口出しをしてくるその『自意識という壁』を乗り越えた先に、ベリーダンスの本当の楽しさを感じていただけたら嬉しいです。